1.入職は一期一会。運命的な出会いと思おう
入職とは運命的な出会いであると思います。お互いがお互いを選び、見えない力で結ばれたため、一緒に働くことになったわけです。この出会いを「一期一会」と考え、お互いが一つの覚悟を持って接していく必要があります。
この先、仕事をしていく上で必ず困難なことに直面します。その困難に立ち向かえるかどうかは、入職時の覚悟が必要です。これが私の運命であるとはじめに感じることができれば、すべてのことを乗り越えられる活力が生まれてくるはずです。
2.周りを信頼しよう
入職後、新しい仕事の内容を覚えたり、新しい人間関係を構築したり、不安に感じることが多くあると思います。先輩方はその不安を一日でも早く解消してほしいと、積極的にコミュニケーションをとり、組織のミッションや、理念、そして日々の業務内容を熱心にお伝えするでしょう。そして、組織はいつでも新しく入ってきたスタッフに大きな期待を持って、早く成長してほしいと願っています。ときに、その期待が大きくて、熱心に伝えすぎて、負担に感じてしまう人もいるかもしれません。
ただ、それは新しく入ってきたスタッフへの愛情と期待の裏返しであることを忘れないでください。そこには同じミッションと理念の実現を目指して仲間になってくれたという信頼が根底にあります。だから、新しく入ってきた皆さんは、どんなに不安でも、まずは周りを信頼してみてください。入ってきたご自身がまず周りを信頼することで、自分自身にプラスになることがたくさん生まれて来ます。
3.周りを褒めよう
組織の中で、働きやすい環境は自分自身で作ることができます。その秘訣は「まわりを褒めること」。入職したての頃は、色々とコトの勝手がわからず、不平不満を感じやすい時期でもあります。そしてどの組織にも、いいところ、悪いところの両面が存在します。ただそこで、不平不満を口にするスタッフと、組織の良いところを見つけて言葉にするスタッフではその後の成長度合いが違います。
もし自分自身が先輩だったら、「この組織は働きにくいです」とぼやいている新入職スタッフと「この組織のこういうところが働きやすいです」と言っているスタッフだったら、どちらにより多くの時間と愛情を注ぎたいと思うでしょうか。いつでも、組織や人の良いところを見つけ、ポジティブな言葉を発する人の周りには、必ず幸せが訪れます。そして、組織や人の良いところは、自分の考え方次第で見つけることができるものなのです。
まずは、成功や幸せをつかみ取る第一歩として「周りを褒める」、そんな簡単なことから始めてみてください。
4.困難なことに率先して取り組もう
世の中には良い指導者、そして悪い指導者ともに存在します。そして、どの指導者にあたるかによって自分の成長具合が変わってしまう、より良い指導者から教育を受けた方が成長できる、と考える人が多いと思います。しかしそれは、半分は当っていますが、半分は間違っていると考えます。「優秀」「名人」と呼ばれる人が、必ずしも良い指導者に恵まれていない場合も少なくありません。
優秀な指導者のもとではそれ以上の人は生まれないこともしばしばである一方で、反面教師と呼ばれるような指導者のもとで、教育を受けた側が改善点を自分自身で見つけだして指導者を越える成長を遂げることもあるのです。指導者が個として優秀なことが、優秀な人材が育つ条件とは必ずしも言えないのです。指導者から常に答えをもらって行動していては、いざ1人で何かをしなければいけなくなった時に、何もできない場合もあります。
どんな状況であれ、常に自分自身でシミュレーションをしながら自分自身の頭で考えて、前に進む人であれば、困難に立ち向かっている状況を仮想的に作り出しているわけですから、成長もできるわけです。つまり、指導を「誰に受けたか」ではなく、「どのように自分が受け取り、解決し、成功につなげるか」なのです。自分自身で困難や難しい難題に立ち向かい、自身の力で物事を解決できる能力を身につけることが肝要です。
5.物事のストーリーを知ろう
多くのもの・ことには、必ずその歴史があります。どんなに小さな出来事でも、そこに至った経緯があります。私たちは、その時々の瞬間を肌で感じながら生きていますが、見たり、聞いたり、感じたりした断片的な事象の把握で物事を判断すると間違った結論に至ることがあります。皆さんにも、「そういう経緯だったらはじめから言ってくれたらいいのに」といって誤解が解けた経験がきっとあると思います。経緯を知ったら、わかることが世の中にはたくさんあります。人も組織もそこに至る歴史やスト―リーがあるのです。
新入職スタッフの皆さんには、そのストーリーがあることを常に念頭に置き、そしてそれを常に知ろうとして頂きたいと思います。多くの先輩が失敗を重ね、それをもとに現在を作り上げてきた経緯を知り、その上にさらに新しい価値を作り上げていってほしいと思います。
6.礼儀を身につけよう
私たちの組織は職種間での隔たりをなくし、風通しのよい組織を作り上げようとしています。この「隔たりなく風通しの良い組織」というのは、どういうことかを考えてみましょう。風は通り道があって初めて通ります。何の構造物もない荒野に風が吹くことを風通しが良いという表現はしません。つまり、風が通る道、言い換えると組織としての構造があって初めて風が通り始めるのです。その組織としての構造をスタッフがしっかりと理解し、作り上げることが理想の組織作りの第一歩となります。
その組織としての構造に風を通すためには、「窓」を開ける必要があります。窓の役割は、それぞれ組織を構成する人が担っており、その窓を開けるための大事な要素が潤滑油としての「礼儀」です。この「風」が通るための「窓」をスムーズに開くため、「仲間を敬い礼儀を尽くすこと」が重要です。礼を、目に見える形で表現することを忘れないでください。
7.健康でいよう
私たちは医療という現場から、地域の人に健康づくりのサポートをしています。そのサポートをする側が健康であることは、健康をサポートする上で必須となります。ですので、自分の体調管理を自分自身で行うことは、自分のためでもあり、健康をサポートする人への貢献でもあります。運動を適度に行い、食事をバランスよく摂り、必要な休養をとることを忘れないでください。
また、身体的な健康も大事ですが、「病は気から」という言葉が昔からあるように、心と体はつながっています。常に心を健康に保ち、心身ともに健康な状態を作りましょう。心が疲れている人には、その心の隙間に病が入り込みやすい傾向があります。楽しく意欲的に仕事をしてこそ健康な心も育まれます。お互いの体、心の体調を気遣いながら健康な組織を作り上げましょう。
8.困難の先の楽しさを感じよう
医療業界では職場探しという点で需要と供給のバランスが崩れており、有資格者であるとどこでも働くことが可能であるという現実があります。そのような業界の傾向の中、小さな困難を経験すると、楽な道を選びたくなり、次々と転職をくりかえす方々を目の当たりにしてきました。そんな中、じっと耐えて困難を克服してきたスタッフも多くいます。そして、その困難を乗り越えてきたスタッフの皆さんは、乗り越える度に新しい仕事の楽しさを見出し、新たなステージに進み、自分自身の成長を成し遂げています。
一つのことを長く続けることで、物事の多種多様な側面を深く理解することができるようになります。そして、どんな職場、どんな職種であっても仕事の根本は共通しており、どこにおいても、その共通する部分は自分のやり方次第で身につくことができるものなのです。是非、一つの事を長く続けるということを成し遂げてもらいたいと思います。
9.今の自分の評価以上の働きをしよう
組織として価値を作り出し、地域の人によりよい医療を提供するためには、今の組織の状態よりも成長して行く必要があります。組織が成長するためには、その組織を構成する各スタッフの成長が必要になります。
私たちは今日より明日、明日より明後日というように、常に改善をし続けなければいけません。新入職の皆さんは、その成長し続けよう、改善し続けようというマインドを持ち、今の自分の評価以上のパフォーマンスを発揮していってほしいと思います。そこに必ず、組織、個人としての評価が付いてきます。
10.組織も社会の一部であることを忘れずにいよう
私たちの理念の中に、「人と人、医療と社会全体のつながりを重視し」という文言があります。私たちは常に、社会という集団の中で生活をしています。人も、社会も、医療もすべて社会の一部なのです。それぞれが独立して単独で生きていくことはできません。私たちが担っている役割、そして行動自体が組織に影響を与え、組織は社会に影響を与え、互いに協力し合って成り立っています。つまり、個人個人の行動が結局は社会全体に影響を与えているということなのです。
「自分自身だけ良ければいい」という行動は、自分自身だけで生きていけるわけではないため、結局は自分を守るという目的を果たせず、不利益をこうむってしまう結果につながります。時間的、空間的に大きな枠組みで物をとらえた時に、ある程度、社会、組織という中で調和をとりながら行動することは、働く人には大事な考え方になるため、是非身につけて頂きたいと思います。
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